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4.全身性エリテマトーデス(SLE)と向き合う日

闘病記

全身性エリテマトーデス(SLE)と向き合う日

入院してしばらく経ち、

ようやく主治医と落ち着いて話せるようになった頃

私は、新たな現実を静かに受け入れる時間を迎えていました。

 

原因の正体と診断名

告げられた原因の正体

主治医の口から告げられた

SLEという名前

『全身性エリテマトーデス(通称:SLE)』

 

突然の出血で発症した特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、

その後に重なるように現れた自己免疫性溶血性貧血(AIHA)。

これらすべての背景には、

実はもっと根本的な原因があった

それがSLEだったのです。

 

まずは、SLEに対してステロイドの大量投与を行います。

反応を見ながら、

必要であれば免疫抑制剤も併用していきます。

そして、できるだけ早くステロイドの減量を目指しましょう。

この時点で、すでにAIHAは進行しており、

血液が壊れていくスピードと、

体力の消耗は激しさを増していました。

病名を聞いた瞬間、

私はただうなずくことしかできませんでした。

「これが、本当の原因だったのか……」

 

同時にふと、安堵に似た感情も湧いてきたのです。

「やっと、原因がはっきりした」

「やっと、戦う相手の姿が見えた」

これまで曖昧なまま続いていた体調不良や、

繰り返す病状に怯える日々。

その理由がようやく、

一本の線でつながった気がしました。

 

主治医は言いました。

「ITPの再燃も、AIHAの発症も、

すべてはSLEが引き起こしていたことです」

そう思うと、

これまでの苦しみにも意味があったのだと、

少しだけ思えるようになりました。

 

そして告げられた、

再び始まる最大量のステロイド治療。

「また、あの長い治療が始まるのか」

 

副作用で眠れなかった夜、

心身ともに限界を感じたあの日々が頭をよぎります。

けれど今の私は、あの時とは違います。

 

治療の知識もある。

副作用への備えもある。

何より、「正体」がわかっている。

覚悟はできている。

これが、私にとって、

本当の原因と向き合う日だったのです。

 

ステロイド治療と副作用のつらさ

再び始まったステロイド治療と、

副作用という名の地獄

全身性エリテマトーデス(SLE)の治療は、

以前、ITP(特発性血小板減少性紫斑病)のときと同じ、

ステロイドを最大投与する治療でした。

あのときも、眠れない夜が続き、

心身ともに追い詰められるような、

つらい日々でした。

 

ステロイドを大量に投与されると、

まず襲ってくるのが眠れない夜です。

夜が更けても、ただ目を閉じているだけ。

2日でわずか2時間眠れれば良い方で、

睡眠導入剤(マイスリー)を使っても、

1時間と経たないうちに目が覚めてしまいます。

 

真っ暗な病室。

窓の外にぼんやり浮かぶ街路灯の光だけが、

夜の長さを静かに照らしている。

それ以外には、何もありません。

目を閉じても、

眠れないまま時間だけが流れていく。

「この夜は、永遠に終わらないのではないか」

「朝が、もう二度と来ないのではないか」

そんな不安が、

じわじわと胸の中に広がっていきます。

 

ただ布団の中で、

孤独と恐怖と戦いながら朝を待つ。

そんな夜が、毎晩のように続きました。

あのとき、私は本当に限界に近づいていたと思います。

 

けれど

今回の治療は、

その記憶をはるかに超えるものでした。

 

SLEの確定診断を受け、

再び、最大量のステロイド治療が始まりました。

体重に合わせて55mgのプレドニン。

量は以前と同じですが、

55mgのプレドニンを1ケ月続けることが違っていました。

 

そして、

今回は体の反応がまるで違いました。

「こんな痛みが、あるなんて……」

 

毎朝9時にステロイドを服用すると、

10時を過ぎたあたりから、

股関節に鋭い痛みが走ります。

次第にその痛みは太ももへと広がり、

筋肉が硬直したような感じになり、

焼けつくような激痛に変わっていきます。

 

トイレに行こうとして歩こうとしても

激痛もありますが、足に力が入らないのです。

歩けないのです。

 

時間が経ち、

午後3時を過ぎる頃になると、

ようやく薬の効果が少しずつ薄れて、

痛みが和らいでいきます。

 

けれど、それはほんのわずかな「休戦時間」にすぎません。

翌朝になれば、また同じ痛みとの戦いが始まるのです。

 

「このままでは、

股関節が壊死してしまうんじゃないか——」

そんな恐怖が、

常に頭の中をぐるぐると回り続けます。

 

ステロイドの副作用について調べたとき、

大量に投与すると、

股関節が壊死することがあると、

本に書かれていたのを思い出しました。

その言葉が、

現実味を帯びて何度もよみがえってくるのです。

 

「次に痛くなったら、もう立てないかもしれない」

「歩けなくなったら、どうしたらいいんだろう」

そんな不安と恐怖が、

痛み以上に私の心を締めつけました。

 

この治療は、ただ体だけではなく、

心も深く試されるものでした。

「治す」という言葉の裏側にある、

壮絶な現実。

私はいま、その渦中にいます——

 

続く治療、そして少しずつ

続く治療、そして少しずつ見えた光

1か月にわたる、

壮絶なステロイドの大量投与がようやく終わりました。

体はボロボロで、心も折れかけていたけれど

その努力は、

少しずつ結果にあらわれ始めました。

【採血結果】

 ヘモグロビン(Hb):10.0g/dL

 血小板:10万/μL

数値としては、良好。

ヘモグロビンは安定し、

血小板も入院前の通院時と同じくらいの状態まで戻りました。

「やっと、ここまで来たんだ……」

そう実感できたのは、この時が初めてでした。

ようやく、ステロイドの減量が始まります。

 

足の痛みと向き合いながら

とはいえ、

治療のつらさがすぐに終わるわけではありませんでした。

 

ステロイドが40mgになるまでは、

毎日のように、

あの股関節の激しい痛みが続きました。

薬の量が減っていっても、

身体の悲鳴は止まらなかったのです。

この痛みと向き合い続けたのは、さらに1か月。

 

でも、少しずつ。

ほんとうに少しずつですが、光が見えてきました。

ステロイドの量が40mgを下回ったあたりから、

痛みはやわらぎ始め、

ある朝ふと気づくと、

「今日は少し、歩けるかもしれない」と思えたのです。

 

数値も安定、気持ちも前を向いて

採血の数値は安定し、

体調も回復の兆しを見せ始めました。

 

医師の指導のもと、

ステロイドは1〜2週間ごとに5mgずつ減量。

慎重に、けれど確実に。

体が少しずつ

「自分の力でバランスを保てるようになってきた」と感じました。

 

ステロイド減量の失敗は「ふりだし」に戻ります。

はじめから、ステロイド量最大投与からです。

 

今回も、ステロイドの減量に成功しました。

体の中に流れる薬の量が減っていくたびに、

心が少しずつ回復していく感覚。

 

回復、そして退院へ

入院から4か月。

長く感じた日々も、

いまでは一瞬のように思えるほどです。

 

そしてついに

ステロイドの量が30mgになったタイミングで、

退院が決まりました。

 

嬉しかった。

不安もある。

再発の恐怖もある。

それでも、

自分の足で「病院の外の世界」へ戻れる日が来たこと。

それは、何にも代えがたい喜びでした。

 

しかし、次に同じ治療を受けると

元の生活に戻れないと心の底でおもいました。

再燃だけは、絶対起こさないように。

無理はしないように。

何を言われても・・・。

 

命を救ってくれた人たちへ――感謝の気持ちを込めて

2度目の入院。

そして、2度目の命の危機。

今回は、本当に、死のふちに立っていました。

意識がもうろうとする中で、

「これ以上は無理かもしれない」

そんな思いが頭をよぎった瞬間も、

正直ありました。

 

けれど、私は生きて、

今、ここにいます。

あの深い闇の中から、

こうして光のほうへ帰ってこられたのは、

すべて、支えてくれた人たちのおかげです。

 

4か月におよぶ入院生活の最後の日――

担当医の先生は、静かに、けれど力強く、

こう言ってくださいました。

 

「もう、2度と再燃はさせません」

その言葉が、どれほど私の心に響いたか、

言葉では言い尽くせません。

 

命を救ってくれた担当医の先生。

日々の体調や痛みに寄り添い、

笑顔で接してくださった看護師の皆さん。

そして、毎日心を寄せてくれた家族。

本当に、本当に、ありがとうございました。

 

「ありがとう」では足りないほどの思いを込めて、

私は、前を向いて歩いていこうと思います。

再燃させない――その言葉を胸に。

 

やっと見えた光「病名」と「安心」のあいだで

意外かもしれませんが、

「全身性エリテマトーデス(SLE)」と診断されたとき、

私は少し「ほっ」とした気持ちになったのです。

 

それは、「やっと、病名がはっきりした」から。

長い間、原因が分からずに体調が悪くなるばかりの日々。

不安だけが膨らみ、

治療の方向性も対処療法で

先が見えないままでした。

 

SLEは、診断が非常に難しい病気だと本で読みました。

実際、ネットや本では

「病院をいくつも回って、やっとたどり着いた」

という話が多くありました。

その中には、

私とそっくりな経過をたどった方もいて

ようやく自分も、

治療のスタートラインに立てたんだと実感したのです。

 

診断の瞬間、心の奥にうずまいていた不安が、

少しだけ解けていくのを感じました。

 

「知る」ことで心の安心を

「知る」ことで前を向けた

とはいえ、完全に安心できたわけではありません。

心の奥には、まだ拭いきれない不安がありました。

 

「私は、この病気のことをもっと知りたい」

「自分の体について、これからの暮らしについて、納得していたい」

その思いから、私は図書館に通うようになりました。

読み漁った本は、

次のようなジャンルにわたります:

膠原病や免疫学

SLE、免疫抑制剤

ステロイドや免疫抑制剤の副作用について

再燃予防に関する生活習慣

インターネットではなく「本」で学んだのは、

主治医の勧めもあったからです。

本の中には、

私と驚くほど似た症状・経過を持つ方の体験談も載っていて、

何度も勇気づけられました。

実は、診断がつく前から私はどこかで感じていました。

「きっと、私の病気の根本はSLEなのではないか」

 

主治医からの説明も受けましたが、

私は自分の心を納得させるために、

知識を得て、納得して治療を受けたいという

強い気持ちがありました。

 

知識を持てば、主治医との対話も深まり、

治療方針に対して自分なりの考えを伝えることもできます。

その積み重ねが、

お互いの信頼関係を築くことにつながると思います。

 

この病気とは、

これから長く付き合っていくことになるからこそ。

自分の体を、自分自身で守ることが大切と思います。

 

二度と繰り返さないために――私の決意

もしもまた、

ステロイドの大量投与が必要になれば

そのときは、股関節の壊死リスクがさらに高まる。

 

だからこそ、私は心に強く誓いました。

「もう二度と、再燃させない」

そのためにできることすべてをやろう、と。

食生活を見直す

体調管理を怠らない

ストレスと上手につきあう

 

そして何より、

「自分の身体の声」に敏感になること

 

病気と闘うのではなく、共に生きる。

そう決めたとき、少しずつですが、

心が落ち着いていくのを感じました。

 

<次回予告:仕事復帰までの道のり>

退院したからといって、

すぐに元の生活に戻れるわけではありません。

4か月の入院、そして2か月の療養期間。

 

私はどうやって体力を取り戻し、

心の不安とどう向き合いながら、

再び仕事という日常に戻っていったのか。

 

次回は、
「SLE発症から仕事復帰までの歩み」
を、じっくりお伝えします。

SLE発症から社会復帰へ――6か月の記録と、私の小さな再出発

「SLE発症から仕事復帰までの歩み」をお伝えします。

SLE発症から仕事復帰!4ケ月間の入院から仕事復帰へ

 

 

 

全身性エリテマトーデスについて調べた事

全身性エリテマトーデス(通称:SLE)どんな病気?

全身性エリテマトーデスの病因は不明です。

有効な治療法は確立されていません。

SLEは膠原病の代表的な病気で、

患者数5万人余りです。

膠原病の中では関節リウマチの次いで患者数が多く

【発病率】
・女性9
・男性1
圧倒的に女性に多く、
20~30歳代が多い

 

50歳以降なると、

女性3:男性1まで差が縮まります。

 

症状の現れ方

全身の症状としての現れ方

 

・発熱
・全身の倦怠感
・易疲労感
・食欲不振
・体重減少

 

皮膚や関節の症状は

この病気のほとんどの患者に現れます。

 

SLEの発症とかかわるリスクと予防

免疫異常

免疫複合体が皮膚、腎臓、血管などの組織に沈着して

障害を起こします。

 

環境

強い紫外線を浴びると悪化することがあります。

(曇りでも晴れの50%で注意が必要)

ウイルス感染、外傷

 

SLEで起こる症状

ループス腎炎

全身性エリテマトーデスの半数に発症します。

もっともおかされやすいのは

・腎臓
・すい臓

 

【注意する症状】
・発熱
・関節痛
・疲労症状

 

血液の異常

採血の時に注意する項目

・白血球減少
・貧血
・血小板減少

 

SLEで血液病態

全身性エリテマトーデスで併発しやすい病態

・自己免疫性溶血性貧血
・鉄欠乏性貧血
・血栓性血小板減少性紫斑病
・再生不良性貧血
・血球貧食症候群

 

神経精神(中枢神経)ループス

発症リスク10~60%、現在は早期治療が普及

次の症状に注意が必要です。

精神症状

(不安感、認知障害、けいれん)

末梢神経障害(知覚鈍磨、刺激性疼風)

 

脳神経障害

複視、三叉神経痛、視力障害、視野欠損、顔面麻痺など

 

その他臓器

胸や腹部に水がたまる

 

心臓の病変

心外膜炎(SLEの増悪期に強い胸のいたみ)

 

肺部の病変

胸膜炎

 

腹部の病変

消化器症状

(悪心、嘔吐、腹痛、下痢、吐血、下血、腸閉塞、腹水、ループス膀胱炎)

 

特発性血小板減少性紫斑病(通称:ITP) とは

血小板数が減少し、

出血しやすくなる病気です。

 

発症してから、

6ヶ月以内に血小板数が正常に回復する場合は

子供に多いです。

 

6ヶ月以上血小板減少が持続する「慢性型」は

成人に多い傾向にあります。

 

血小板数が10万/μL未満に減少するのが特徴です。

 

どのくらいいますか?

この病気を患っている患者さんの

総数は約2万人であり、

新たに毎年約3000人の患者さんが

この病気に罹ると考えられます。

 

子供は、急性型が約75~80%を占め、

ウイルス感染や予防接種が原因であることが多いです。

 

慢性型は成人に多く、

原因は特定できないことがほとんどです。

20~40歳台では女性が男性の約3倍多く発症しています。

 

原因は?

血小板に対する「自己抗体」ができ、

この自己抗体により脾臓で血小板が破壊されるために、

血小板の数が減ってしまうと推定されています。

原因は、はっきりとしたことはわかっていません。

 

どのような症状?

血小板は、出血を止めるために非常に大切な細胞です。

この数が減ると出血し易くなり、

出血が止まりにくくなり、

出血症状がみられます。

・紫斑が現れる(点状や斑状の皮膚にみられる出血)
・歯磨きなどで、歯ぐきから出血、口腔粘膜出血
・鼻血
・便に血が混じったり、黒い便が出る
・尿に血が混る
・生理が止まりにくい
・脳出血

 

自己免疫性溶血性貧血(通称:AIHA)

血液中の赤血球が破壊されます、

この破壊させることを溶血といいます。

赤血球が破壊されると、

体内に酸素を運ぶことができなくなり、

貧血になります。

 

そして、息切れ、ふらつき、

眼球が黄色くなったり(黄疸)、

褐色尿(尿が真っ赤になる)の症状が出ます。

 

【闘病記メイン記事】

【SLE闘病記】難病全身性エリテマトーデスと診断されるまで4年かかった!はじまりは発熱から
膠原病の全身性エリテマトーデスと診断されるまで4年かかり、難病と共に今を生きる考え方を闘病記に書いています。 はじめて難病と診断された時の思い、これからの生き方をあらためて考させられます。 この闘病記を読んで、人生を見つめ直すきっかけになれば幸いです。

 

 

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