特定医療費(指定難病)申請忘れずに!
特定医療費受給者証は、毎年更新申請が必要になります。
また、新規の方は、できるだけ早く申請する事をお勧めいたします。
ここでは、新規の方、更新の方の申請する時、必要な書類、注意事項をまとめています。
どこで、どのような申請が必要か簡単にまとめました。
指定難病医療費助成制度
難病法に基づく特定医療費の支給対象となる指定難病は、治療がきわめて困難であり、医療費が高額であるため、特定疾患に関する医療の普及と患者の医療費の負担軽減を図ることを目的としています。
指定難病は各都道府県の指定難病一覧表を参照ください。
医療費助成の対象となる方
医療費助成の対象となったとき、新規申請する方法、更新方法を順を追って解説していきます。
全身性エリテマトーデスは、医療費助成の対象となります。
申請に必要な情報を細かく解説していきます。
<都道府県・指定都市関係機関及び医療提供体制情報のリンク先>
申請から医療費受給者証交付の流れ
9月に医療費受給者証が交付される方は、3ケ月前の6月から申請ができます。
6月に申請できるように、申請に必要な書類を準備しましょう。
申請に必要な書類(新規の場合と、更新の場合を一覧表にまとめました)
新規入手先 | 更新の場合 | |
特定医療費の 支給認定申請書 | 保健所 申請時保健所で記入する場合もあります | 5月末までに郵送されます 申請時保健所で記入する場合もあります |
臨床調査個人票 (難病指定医作成) | 保健所 【主治医へ記入を依頼します】 | 5月末までに郵送されます 【主治医へ記入を依頼します】 |
保険証のコピー | 保険証の両面をコピーします | 保険証の両面をコピーします |
全世帯の住民票 | 市区町村の住民表窓口(市役所) | 市区町村の住民表窓口(市役所) |
市町村民税の(非)課税証明書 | 市区町村の住民表窓口(市役所) | 市区町村の住民表窓口(市役所) |
医療費について確認できる書類 該当することを確認するために必要な領収書など | - | 医療受給者証とともに交付される 「自己負担上限額管理票」 受診の時、徴収額を管理票に記入してもらいます |
人工呼吸器等装着車している方は、上記に加え下記の書類も用意します。
新規入手先 | 更新の場合 | |
人工呼吸器等装着車であることを証明する書類 | 保健所 | 保健所 |
世帯内に申請者以外に特定医療費 または小児慢性特定疾病医療費の受給者がいる事を証明する書類 | 保健所 | 保健所 |
できるだけ早く申請します
申請から医療受給者証の交付まで、約2~3ケ月ぐらいかかります、6月から申請ができる場合は、
6月中に申請することをお勧めします。
申請日から医療受給者証を受け取るまでに指定医療機関を受診し、支払った医療費は、
申請日にさかのぼり払い戻しを受けることができ、申請書と領収書を保健所へ提出します。
医療受給者証の有効期間は、1年です。毎年、更新手続きを行う必要があります。
(2020年度は、新型コロナの影響で1年延長されましたが、2021年度は申請が必要です)
更新書類は郵送されてきますので、その更新申請書を使い申請します。
申請に必要な書類や手続きの流れは都道府県ごとに異なる場合がありますので、
市区町村の役所窓口にお問い合わせください。
医療費受給者対象には、認定基準がある
医療費助成の対象であっても、専門医による認定審査があり申請が通らない場合があります。
今回は、全身性エリテマトーデスについて解説していきます。
全身性エリテマトーデスは、重症度分類SLEDAIスコア:4点以上が基準です。
<重症度分類>
SLEDAIスコア:4点以上を対象とする。
下記の点数の合計します。
【難病情報センター資料より抜粋】
SLEDAI | 項目 | 定義 |
8 | 痙攣 | 最近発症。代謝性、感染性、薬剤性は除外。 |
8 | 精神症状 | 現実認識の重度の障害による正常な機能の変化。 幻覚、思考散乱、連合弛緩、貧困な思想内容、著明な非論理的思考、 奇異な、混乱した、緊張病性の行動を含む。 尿毒症、薬剤性は除外。 |
8 | 器質的脳障害 | 見当識、記憶、その他の知能機能障害による認知機能の変化、変動する急性発症の臨床所見を伴う。 注意力の低下を伴う意識混濁、周囲の環境に対する継続した注意の欠如を含み、 かつ以下のうち少なくとも2つを認める:知覚障害、支離滅裂な発言、不眠症あるいは日中の眠気、 精神運動興奮。代謝性、感染性、薬剤性は除外。 |
8 | 視力障害 | SLEによる網膜の変化。細胞様小体、網膜出血、脈絡膜における漿液性の浸出あるいは出血、視神経炎を含む。 高血圧性、感染性、薬剤性は除外。 |
8 | 脳神経障害 | 脳神経領域における感覚あるいは運動神経障害の新出。 |
8 | ループス頭痛 | 高度の持続性頭痛:片頭痛様だが、麻薬性鎮痛薬に反応しない。 |
8 | 脳血管障害 | 脳血管障害の新出。動脈硬化性は除外。 |
8 | 血管炎 | 潰瘍、壊疽、手指の圧痛を伴う結節、爪周囲の梗塞、線状出血、生検又は血管造影による血管炎の証明。 |
4 | 関節炎 | 2関節以上の関節痛あるいは炎症所見(例:圧痛、腫脹、関節液貯留)。 |
4 | 筋炎 | CK・アルドラーゼの上昇を伴う近位筋の疼痛/筋力低下、あるいは筋電図変化、筋生検における筋炎所見。 |
4 | 尿円柱 | 顆粒円柱あるいは赤血球円柱。 |
4 | 血尿 | >5赤血球/HPF。結石、感染性、その他の原因は除外。 |
4 | 蛋白尿 | >0.5g/24時間。新規発症あるいは最近の0.5g/24時間以上の増加。 |
4 | 膿尿 | >5白血球/HPF。感染性は除外。 |
2 | 新たな皮疹 | 炎症性皮疹の新規発症あるいは再発。 |
2 | 脱毛 | 限局性あるいはびまん性の異常な脱毛の新規発症あるいは再発。 |
2 | 粘膜潰瘍 | 口腔あるいは鼻腔潰瘍の新規発症あるいは再発。 |
2 | 胸膜炎 | 胸膜摩擦あるいは胸水、胸膜肥厚による胸部痛。 |
2 | 心膜炎 | 少なくとも以下の1つ以上を伴う心膜の疼痛:心膜摩擦、心嚢水、あるいは心電図・心エコーでの証明。 |
2 | 低補体血症 | CH50、C3、C4の正常下限以下の低下。 |
2 | 抗DNA抗体上昇 | Farr assayで>25%の結合、あるいは正常上限以上。 |
1 | 発熱 | >38℃、感染性は除外。 |
1 | 血小板減少 | <100,000 血小板/mm3。 |
1 | 白血球減少 | <3,000 白血球/mm3、薬剤性は除外。 |
SLEDAIスコア:4点以上を対象とするとありますが、
それ以外に、申請時に提出する臨床調査個人票(難病指定医作成)の内容を、
各都道府県の担当者が確認し医療費受給者対象になるか判断されます。
自己負担上限額について
医療受給者証の交付されると、医療費助成における自己負担上限額(月額)は、以下の通りです。
【2021年4月1日の月額(難病情報センター資料より抜粋)】
所得階層 | 階層区分の基準 | 自己負担限度額(外来+入院) 患者負担割合:2割 | ||
一般 | 高額かつ長期 | 人工呼吸器等 装着者 | ||
生活保護 | - | 0 | 0 | 0 |
低所得1 | 市町村民税非課税世帯 本人年収80万円以下 | 2,500 | 2,500 | 1,000 |
低所得2 | 市町村民税非課税世帯 本人年収80万~160万円 | 5,000 | 5,000 | |
一般Ⅰ | 市町村民税(世帯) 課税~約7.1万円 (年収約160万円 ~約370万円) | 10,000 | 5,000 | |
一般Ⅱ | 市町村民税(世帯) 約7.1万以上、 約25.1万円未満 (年収約370万円 ~約810万円) | 20,000 | 10,000 | |
上位所得 | 市町村民税(世帯) 約25.1万円以上 (年収810万円以上) | 30,000 | 20,000 | |
入院時の食費 | 全額自己負担 |
寛解になると、医療費助成の対象から外る場合があります
全身性エリテマトーデスの状態が安定し、免疫抑制剤を使用しないで、ステロイド量も少なくなり、
寛解(かんかい)の状態になると、医療費助成の対象であっても申請が通らない場合があります。
毎月の医療費は、医療費助成受けても変わらない医療費になると思います。
全身性エリテマトーデスは、寛解、悪化を繰り返すことが多くあります。
悪化した場合に、再度申請すれば大丈夫です。